引導を渡すときに
「松明」
を使用することをよく見かけます。
参列者の方でも松明にはどのような意味があるのだろう?と不思議に思う方が多いようで、今回はこの松明の意味について紹介しておきます。
葬儀では本物の松明は使用しない
私は
「昔は実際に本物の松明を葬儀で使用されていた」
と聞いています。
しかし現代ではほとんど本物の松明ではなく、松明に似たもので代用されているといえます。
一番多いパターンでは赤く装飾された棒状のものを使用することとなっています。
ちょうどマッチのように先端だけ赤く装飾されていて、まるでマッチを大きくしたようなものといえます。
葬儀での松明の意味とは?
これは簡単にいえば
「故人の霊をあの世に迎えてもらう」
という意味で使用されます。
引導(故人の霊をあの世に導くこと)の際に使用されます。
松明を使用する前に、故人があの世に向かうことを呪文で唱えています。
その後に松明を3回振るのですが、これによってあの世への道の魔除けの効果を生じさせるとされています。
火は
- あの世とこの世をつなぐ
- 悪霊などを退ける
- 煩悩を焼き尽くす
という意味がありますが、この葬儀の松明においてはこの3つの意味と目的を期待しての使用であることがわかります。
煩悩を焼くということで、あの世にスムーズに達することができるようにということともに、次回の人生をスムーズに開始することができるようにという目的もあるといえます。
葬儀では引導が一番重要なクライマックス
この松明による引導の後、焼香に入ります。
上記を見てもらうとわかりますが、故人をあの世にしっかりと送り届けることが松明による引導の目的です。
葬儀の目的もこれと一致していて、葬儀の本質とはこの引導にあるといえます。
そのため松明が出てきたときは葬儀でのクライマックスといっても良いのです。
喪主としてはこのタイミングを見逃さずに、しっかりと見届けたいところといえるでしょう。
宗派によって松明の意味は違う
今回紹介しました
「松明によって引導を渡し、魔除けの意味も込める」
というのは浄土宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗などで言われる効果です。
他の宗派では多少意味や目的も違ってくることもあるようです。
自分の宗派でどのような松明の意味があるのかは僧侶の方に質問すれば回答してもらえます。
喪主として葬儀をしていても松明や引導の意味を知らないと、葬儀は退屈なものでしかありません。
しかし松明が出てくるといよいよ故人があの世に行くのだ、というように葬儀の一番重要なタイミングが理解できます。
葬儀はとかく費用のことばかりクローズアップされますが、本当はこのような儀式の意味ということも理解して喪主などとして参列しておきたいところです。
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